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とりあえず、メールを打った。
『今、どこにいるの?』とただ一言。
するとすぐに『家にいる』と返ってきた。
俺は『わかった』とだけ返して、再び家を飛び出した。
杉田は暗い時間は危ないから、あまり一人で外をうろつくなと言ってくれたけど、今はそんなこと気にしていられる問題ではなかった。
今すぐにでも俺はナオキのそばに行って、ナオキの隣にいたかった。
それが、ナオキの嫌がる結果になっても。
やっぱり落ち込んだ時は一人にならない方がいい。
「!」
バイブが鳴った。
ナオキからだった。
「はい。どうした?」
俺は走りながら、電話に出た。
「どどうしたじゃない!」
「?」
「今、兄さん何をしている?」
「え、今、走ってるかな?」
「どこを?」
「どこって、外だよ?」
「それって、どこにむかって?」
「ナオキの家だよ?」
「ちょ、待て、いい、とにかく、いいから」
俺は大丈夫だからと、ナオキは言った。
もしかして、余計なお世話だったかもしれない。
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