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自宅について、ドアを開けると、電気のついていない部屋。

「あれ?」

それはこんなにも暗いものだっただろうか?
俺は首をかしげた。
不思議だ。淋しいと感じない。
ただいま、と言っても、返事はないけど。
咳をしても、一人だけど。
心の中にはさっきまで、ずっと一緒にいた杉田がいてくれたから。


「!」

急に携帯のバイブがなった。

俺は慌てて、携帯をポケットから取り出した。

ナオキからだった。


「も、もしもし」

俺はこわばった声で出た。緊張してしまったんだ。

「ナオキどうした?」

できる限りの平然を装いながら、俺は、バクバクなる心臓を抑えた。

「…?」

電話の向こうからは声がしない。
なんだろう、泣いているような、気配はしたのだけど。

「ナオキ?」

俺は呼びかけた。呼びかけたけど、返事はなかった。
そして、何の会話もないままに電話は切れた。

俺は、どうしていいのか、わからなくなった。






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「見えない臓器の名前は」
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