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そんでや、成り行きで、ナオキの家について行って、今に至るんやけど…

さっきから、携帯ばかり気にしているナオキに俺は「好きやって言ったら、どないする?」と聞いてしまったんだ。

気付かれたくない、この気持ちを、俺は、気づいてほしいと願ってしまったんや。


けど、やけど、さ、ナオキは首をかしげただけやった。


俺の気持ちなんて伝わる日なんてこないのかもしれへんわ。

切ないわ。ほんま。

「誰が誰をって、わからんの?」

俺は、絞り出すような声で聞いた。

「わかってたら聞くかよ」

まじな顔をして、ナオキは俺を見つめた。
ああ、もう…もう……

「もう、ええわ、何でもないって」


俺はそう言い捨てて、再びテレビをつけた。

大好きなお笑い番組。

だけど、笑えない。


遠い。






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