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カラオケボックスに二人を置き去りにして、俺は、公園に来たんやわ。
特に用事があるわけでもないんやけど、なんでやろうな、気がつけば、此処におったんやわ。

ベンチに一人座って思い出しとったかな。

くだらないことやけど、俺にとっての特別な記憶。
はじめて、俺が、ナオキに出会った時の、衝撃な、あの感覚。
きっと、俺はあん時から、ナオキのこと好きなんやと思うわ。

やけどさ、わかっとるよ。

長年、あいつと付き合ってきたんやから、あいつが極度の兄さんラブな奴やってさ。


「はぁあ」

なんで、俺、あんな奴のことなんて好きなんやろ。
わからん。
わからんけど、好きなんや…

「ばっかみてぇ!」

俺は叫んだ。
叫んでみたんや。
ちょっとは楽になれるかなって思って。
やけど、無理みたいやわ。
わかっとったけど、心って難しいんやな。

「やけど、くよくよしてられっか!」

よし、帰ったらお笑い番組でも見て元気出そ。






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