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「綺麗だな」
望遠鏡をのぞくと土屋は嬉しそうにそう言った。
「だろだろ」
俺は嬉しくて、土屋の肩を叩いた。
「……」
「…ぁ、わりぃ」
肩に手を触れたら、土屋が固まったから、俺は慌てて手を戻した。
正直、怖いと思った。
やっとさ、両想いになれたのに、馬鹿みたいだ。失うのが怖いとか…
「……誰も嫌だとか言ってないだろ」
「?」
「触れたら、責任取れよ」
ぶっきらぼうに、土屋はそう言って俺の手を握った。
土屋の顔はどうしようにもないくらいに赤かった。
ああ、なんて、愛おしいんだろう。
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