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部屋に戻ると、土屋が心配そうな顔をして、俺のところに走ってきた。
俺は思わず、そんな土屋をぎゅっと抱きしめた。
しまった。
そう思って土屋を放そうとしたら、土屋のほうから、強く抱きしめられた。
「ごめん」
土屋はそう言った。
その声が震えていた。
「どうして、土屋が謝るんだよ?」
俺は精一杯明るい声を出して、笑う。
だけど、土屋はただ、震えて、首をふるふると横に振った。
「何もできなくて、ごめん」
ぽろぽろと泣きながら、俺の方を見上げて、土屋はそう言った。
限界だった。
俺は、思いっ切り、近くのベットに土屋を押し倒してしまう。
「杉田?」
潤んだ瞳で、
震える眉で、
掠れた、高い声で、
小刻みに、そう、
土屋に、
呼ばれると、
俺は……
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