48




部屋に戻ると、土屋が心配そうな顔をして、俺のところに走ってきた。

俺は思わず、そんな土屋をぎゅっと抱きしめた。


しまった。


そう思って土屋を放そうとしたら、土屋のほうから、強く抱きしめられた。


「ごめん」

土屋はそう言った。
その声が震えていた。


「どうして、土屋が謝るんだよ?」

俺は精一杯明るい声を出して、笑う。
だけど、土屋はただ、震えて、首をふるふると横に振った。


「何もできなくて、ごめん」


ぽろぽろと泣きながら、俺の方を見上げて、土屋はそう言った。

限界だった。


俺は、思いっ切り、近くのベットに土屋を押し倒してしまう。



「杉田?」


潤んだ瞳で、

震える眉で、

掠れた、高い声で、

小刻みに、そう、


土屋に、

呼ばれると、

俺は……






[*前] | [次#]
目次に戻る→


【アマギフ3万円】
BLコンテスト作品募集中!
- ナノ -