15
さ、避けられている。
あたり前と言えばあたり前だ。
ていうか、あんなことされて、平気なつらされても俺が困るが。
「……った」
急に痛みが俺の脚に訪れた。
今は授業中。
俺の脚を踏んだ犯人は堂々としていた。
わざと、踏んだな、蓮見。
「どーした? 元気ない、じゃないか!」
蓮見の一字一句から滲み出る怒りがひしひしと俺に伝わってくる。
「菅野」
いつも笑っている蓮見からは考えられない険しい声。
何か、おかしい。蓮見。
まるで、俺を恨んでいるみたいじゃないか。
そりゃ、蓮見の授業中にぼーっとしていたのは悪かった。
だが、ここまで、足を踏まれるまで、俺は蓮見を怒らせたとは思わない。
だって、いつもはへらへら冗談めかして注意するだけじゃん。蓮見。
なのに、なのに、どうして?
「悩み事か?」
ギリッと、蓮見は俺の足を思いっきり再度踏んだ。
嘘笑顔が怖い。
「青春してんのかぁ?」
痛い痛い。
俺、蓮見に何かしたかな。
「くぁあ、若いっていいよね。でも」
さらにさらに蓮見は俺の足を踏む。
ついに我慢できなくなった俺は口を開いた。
「蓮見、俺、だるいから保健室に行くわ」
「菅野、それはサボり発言か? 俺の美術は受けられないとでも!?」
「……はぁ」
「なんだよ、その生返事!」
ついに蓮見は声を荒げて怒った。
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