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あ…
「土屋って」
俺は聞こうとした。
怖くて聞きたくない気持ちもあるが、聞こうとした。
いつも土屋は俺を誰かと重ねているように思えていた。
そして、今、それが、
さっき会った弟と俺を重ねていたんじゃないかって、思った。
だから俺は弟に似ているのかと、土屋に質問しようとした。
なのに、あっさりと遮られてしまった。
「じゃあ、俺の家に来る?」
土屋がそう、あまりにも衝撃なことを言うものだから。
俺は
「行きたい」
と即答することしかできなかったんだ。
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「見えない臓器の名前は」
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