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それに、俺は、
土屋の弟のあの時の顔が忘れられない。

カッと怒ったような、
俺を殴る寸前の顔。


まるで、俺が、自分の兄さんのことを知っているんが、

許せないかのような、顔だった。



兄さんが、悲しむぞ。


とも、確かに言ったが、確信は持てなかった。


ただなんとなくあいつは土屋の弟じゃないのかなって

俺は思って、カマをかけたつもりだったのだが、


まさかだ。

まさか、あんなにも、弟が、土屋のことを、意識していただなんて。



許せないのは俺の方だった。



そう、本当の喧嘩の理由はお互いに、
お互いのことが許せなかったのだろう。


俺はずっとそばにいた弟というポジションに嫉妬した。

きっと、土屋の弟はそれ以上に、友達という同い年という俺に嫉妬したんだ。


お互いに手にはいらないものに、強くひかれ、


心がぐちゃぐちゃになった。


俺たちはきっとわかり合ってしまったんだ。


お互いに土屋のことがどうしようもないくらいに


好きだって。






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