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=杉田side=
好きって、何だろうか。
俺は考えた。
頭が真っ白になってしまったように、
何も思いつかないが、
必死に考えた。
だって、俺は答えが欲しかった。
それはどういう意味?
期待してもいいのかなって、
速まる鼓動をそのままに、
俺は土屋の肩に手を置いた。
土屋は逃げないでいてくれた。
これは、伝わったってこと?
両想いになれたってこと?
いや、いや、待て待てよ。
期待してしまったらだめだ。
だいたいのオチは
友達じゃんとか、
好きっていうのは弟の方だとか
そんな愉快で楽しいお話が待っているのだろう。
この先に。
そうだ。
そうに違いない。
だから、俺は軽率な行動は慎むようにと、
土屋の肩から手をのけて、
笑った。
たぶん、笑えてない。
だけど、笑った。
「俺も好きだよ」
そう言って。
そう言って。
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