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「杉田、聞いてもいいかな?」
俺はついに切り出すことにした。
「さっき、ナオキ…あの中学生とどうして喧嘩してたんだよ?」
「あ、あれは、ま、しょうもないことだ」
「そう…もないって」
しょうもないことで喧嘩になるのだろうか?
いや、そうだ。
喧嘩なんて案外そういうものだと俺は知っていた。
唐突にどうでもいいようなことから始めることも少なくはない。
けど、俺の知る二人はそんな奴じゃないと思う。
「でも、杉田は理由もなしにそんな…」
俺は食い下がる。
「だから、特に理由なんてないんだって」
杉田は俺に再度そう告げる。
俺はまた聞き返した。
だって、杉田がそんな理由で誰か喧嘩するような奴じゃないと俺は信じていた。
気になって、気になって、
何回も聞いた。
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