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信じられずに俺は部屋の中を見渡した。

ここは杉田の家。


結局あれから、行く場所が見当たらずに、此処へ連れてきてもらった。


だが、俺はまだ驚いていた。

そうだ。
家に着いた時もそうだった。

いや、別に俺は杉田が貧乏だとか、そう思っていたわけじゃない。


ただ、ただ、尋常ではないくらいに、杉田の家が立派なのだ。

入口の門は大きいし、庭は広ろいし、家の中は綺麗で。


杉田家の門をくくってから、ここ、杉田の自室にたどり着くまで、かなり時間がかかった。

その間も、もの珍しいものが多くあって、俺みたいな庶民はきょどりっぱなしだった。



「気楽にしてくれていいよ」

と、杉田は言ってくれた。

けど、いや、簡単に、気楽な気持ちになれる気がしない。


「ああ、ぼちぼちと」

俺は言葉を濁して返事をした。


すると、杉田は

「じゃあ、飲み物いれてくるから、適当にくつろいでいて」

と、にこっこり杉田は笑い、部屋を出た。


こうして、俺一人、杉田の部屋に残されることになった。






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