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そうして、商店街に俺と杉田と、幸崎先生が残った。
幸崎先生は
「うわっ用事できた」
とわざとらしく言いだして、走り去ってしまう。
「ま、ごゆっくり!」
手を振りながら、幸崎先生も午後の光の中へ消えていった。
俺は杉田を見つめると、
杉田も俺のことを見つめてくれた。
また沈黙が流れた。
だけど、自然と優しい気持ちが溢れてきた。
俺は何から話そうか考えて、相談室から向けだした理由を聞くことにいた。
「そういえば、なんで、急にいなくなったんだよ?」
優しく吹き付ける風に乗せるように俺は呟いた。
すると、杉田は
「次こそ、場所を変えよう」
と俺の手を引いた。
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