３０
沈黙が流れる。
俺は、杉田に、
どうして相談室から、急にいなくなったのかを聞きたかったはずだった。
俺は、ナオキに、
最近上手くいっているのかって、聞きたかったはずだった。
なのに、どうして、こんな言葉しか出てこないのだろう。
「どうしてなんだよ？」
かすれた声で訴えた。
「どうして、殴り合っているんだよ…何がそんなにもお互いに気に食わなかったんだよ…」
俺はさらに質問した。
わからないから、聞いた。
二人とも、神妙な顔をして、俺を見つめる。
俺は、その真っすぐな視線に、捉えられたように動けなくなった。
★…☆★☆…☆★☆…★
幸崎先生が、
「ここは商店街だから、場所を移そう」
と、遅れて駆け寄ってくるまでは、
ただ、俺たちは固まったままだった。
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