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俺は心配になった。

久しぶりに弟の姿を見たことよりも、ただ疑問ばかりがここにはあった。


義務教育だって、さぼったらいけないんだ。

高校とか、内心がずたぼろになってしまう。


俺は、ナオキに声をかけようとした。

だが、俺にはもうそんな権利はないんだと、足がすくむ。



もう、いいか。

俺がどうこうしても、

ナオキの人生は変わらない。

ナオキ自身が変わらない限り、

ナオキの環境はそのままだ。

俺が割り込んでもしかたないんだ。



そう思って、俺は商店街から去ろうとした。

杉田には明日にでも話せばいいか。

急ぐようなことでもないし。



「!」

音がした。

人が人を殴った音。


俺は背中を向けていたナオキの方に
振り向く、
反射的だった。

だから、何がどうなっているとか、
想像もしてなかったんだ。


まさか、杉田が、ナオキに殴られているだなんて。

そして、杉田がナオキを殴り返し、
徐々に二人が喧嘩になっていってしまっているだなんて。




俺は駈け出す。

「どうして、二人が喧嘩してんだよ!」

それ以外に、言葉はみつからなかった。






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