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=土屋side=


俺は相談室に居ても何も答えが出ないことに気がついてた。

いや、一人で悩むことに疲れてしまったのかもしれない。


直接、杉田に会って伝えたいことが胸の中にはたくさんあった。

生まれてしまったんだ。
杉田のせいだ…



「やっぱり、俺は探しに行ってきます」


そう、俺は片倉先生に告げる。

だけど、

片倉先生は止める気配すら見せずに


「意地を張っていたら、大切なものをなくすぞ?」

と笑った。

俺は、はじめて見た、
先生の優しい顔に、また泣き出しそうになる。


すると、片倉先生は俺の頭をなでて、


「だから、お前は……」

と、言いかけて「なんでもない」とはぐらかした。


俺は、ただ

「ありがとうございます」

とお礼を言った。


嬉しかったんだ。


いつも、いつも、正直な気持ちは心の中にしまいこんで、
そのまま…消えていくだけだったから。


そんな風に優しい言葉をかけてくれるとか、本当に、嬉しくて。



いいのかなって―――



思えた。


だから、今度会ったら、杉田には本当のことを

伝えようって。


俺は、






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