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=幸崎side=


杉田がいきなり

「土屋」

と叫んで走り出した。


俺はその後をゆったりと追う。

どうやら、たこ焼きをつついている、、中学生の小さい方が土屋らしい。

杉田はその土屋という子の腕をつかむと、何か話しだしていた。


俺には聞こえない声だった。

どうやら、それはとなりで仲良くたこ焼きをつついている子にも聞こえない声だったみたいだ。


だが、
すこしして、

杉田は一発、顔を殴られた。


すると、杉田も一発殴りかえす。

徐々に殴り合いの喧嘩になっていく…



「杉田、中学生相手に何を考えているんだ!」


俺はことの重大性をやっとわかって走り出した。

だが、自分の足の遅さに泣きたくなる。

前に進まない。




「…え?」




俺は思わず立ち止まってしまう。


決してそれは怖かったからではなくて、

あまりにも衝撃的な光景だったからだ。


俺がのそのそと走っている間に、
俺の知っている方の土屋が、
その喧嘩に割って入ったのだ。


あの、おとなしい土屋が…


叫んでいる。



「杉田も、ナオキも何してんだよ!」


商店街中に響き渡るような、澄んだ声だった。





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