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ああ、まるで、俺の両親みたいだ。
悪いものにはふたをするっていう、あれ。

……昔のことを思い出しているとなんだか、気分が落ち込んできた。

はぁと溜息をつく。


だが、そんな俺に対しても、真城は

「おいしいんだよ。あそこのたこ焼き屋さん」

と、楽しそうに、たこ焼きを勧めてきた。

なんて、いい奴なんだろ。


「ああ、ありがとう」

俺は差し出されたまま、たこ焼きののったトレイを受け取った。

まだ温かかった。


「ふーふーしないと、やけどするから気をつけて」

真城はそう言ってまた笑うと「あそこの店の人がね」と話し始めた。


「高校になったら、学校サボるなよって」
そう言われたんだ。と、真城はとても上機嫌だった。


ああ、なるほど。

今はまだ大丈夫なんだよね。義務教育の上にいるから。

「おじさん、ありがと」

俺はたこ焼き片手に、お礼を言った。
すると、たこ焼き屋さんのおじさんは一言こういった。



「お兄さんの間違えだぞ」
と。






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