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=土屋side=
もう、昼からの授業なんてどうでもいい。
受ける気にさえならない。
割れたガラス窓からはさわやかな風が舞っている。
「土屋、よかったら、探しに行ってもいいんだぞ?」
片倉先生はそう言った。
俺は誰のことをいっているのか、聞き返さなくてもわかった。
「杉田はたぶん、俺に会いたくなかったんですよ」
だから、俺を置いて、どっかにいったんだ。
必ず、ここに俺は来ると言っていたのに…。
これが答えなのかと思った。
俺は一人静かに感傷に浸る。
もう、なんだか、疲れた。
昨日から、杉田のことばかりで悩んでいる。
馬鹿みたいだ。
だって、こんなの俺の一人よがり。
「土屋」
「はい?」
「意地張っていると、大切なものをなくすかもしれないぞ」
「意地なんか、張ってないです」
「張っているだろ、杉田に対して」
「どういうことですか?」
「自分の胸に聞きなさい」
そう言って、片倉先生は、相談室を後にした。
俺はただ、一人、自分の胸に手を当ててみた。
いや、わかっていた。
俺は……
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