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「ナオキ、昨日のあれはないって」
「え、なんのこと?」
「ナオキがお兄さん大好きなのはわかったけど、その兄さんの友達、はめることはなかっただろうって今更思うんだ」
友人の真城は昼休みになると、よれたハンカチで包まれた弁当を持って、屋上に上がってきてそう言った。
真城がくだくだとこうして言葉を紡ぐのは日常だ。
口癖は心配なんだ。の一言。
ああ、いちお、この中学校では、屋上の出入りは禁止されていた。
とか、説明はしておくけども、実際にそんなことはどうでもよかった。
真城もそれについて、心配なんだとかも言いださない。
問題なってこと。
先生にばれていても、向こうは知らない顔をするから。
俺たちもばれていないという顔をして、堂々とここでお昼やサボりをかましてりるわけだが。
「真城、お前が気にするのはファッションのことと、弁当のおかずにしとけ」
ズボンをだらしなくはき、金髪の友人に、俺はそう言って、空を見上げた。
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