=ナオキside=


世界で一番好きなのは誰かと
聞かれたら
正直に答えられる自信あった。


俺は兄さんが好きだ。


だけど
兄さんは俺だけのものじゃなかった。

小さい頃はずっと
俺の世界は兄さんだけだったから、
兄さんの世界もまた
俺だけのものだと思っていた。

信じていた。


疑うことなんてなかった。


だから、兄さんは
俺のものじゃないとわかった時、
絶望した。

まだランドセルも背負ってもいない
ガキの頃の話だが、
それだけ俺は過信していたんだ。



兄さんは俺のもので、


俺は兄さんのものだと。






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