9
=ナオキside=
世界で一番好きなのは誰かと
聞かれたら
正直に答えられる自信あった。
俺は兄さんが好きだ。
だけど
兄さんは俺だけのものじゃなかった。
小さい頃はずっと
俺の世界は兄さんだけだったから、
兄さんの世界もまた
俺だけのものだと思っていた。
信じていた。
疑うことなんてなかった。
だから、兄さんは
俺のものじゃないとわかった時、
絶望した。
まだランドセルも背負ってもいない
ガキの頃の話だが、
それだけ俺は過信していたんだ。
兄さんは俺のもので、
俺は兄さんのものだと。
[*前] | [次#]
目次に戻る→