高校に入って、決めた。
実家から隣町に部屋を借りて、俺は一人暮らしを始めた。
これ以上、弟の生活に干渉してはいけない。


泣いてばかりいてもしかたない。



高校で知らない人しかいないから、
新しいスタートを切った。
いや…違う。
本当は何一つ俺は変わっていなかった。

ただ、大人しく喧嘩をしないだけ。


周りの態様もがらりと変わり果てて、俺は怖くなった。
そう、それはまるで、
過去の自分を殺してしまったかのようで、
辛かった。

だから…こうして、知っていてくれる人がいるということは
心なしかほっとした。


完全に消えなくてもいい。
なくなることが一番怖い。


俺は、天井を見上げて「最低だとはわかっていたんですが」と自嘲した。

「だって、迷惑しかしてないのに、それを思いやりでかたづけようだなんて、馬鹿みたいで」


揺れるカーテンから入ってくる光を見つめて、俺は過去にふける。
そこには弟の笑顔があった。


俺は、ただ、守りたかっただけなのに…



「本当は…」







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