「ご迷惑をおかけしました」

「いや、ま、元気になったならいいんだ」

片倉先生はカーテンを閉めながら微笑んだ。
俺は相談室の椅子に腰かけて、そんな先生を見上げた。

「カーテン閉めると薄暗いですね」

さっきまでピーピー泣いていた気まずさゆえに、俺はどうでもいいことを口にした。
かなり気恥かしいから、ちょっとでもそうやってごまかしたかったのだ。

なのに、片倉先生はそれが面白かったみたく「そうか」と笑った。
それが本当に楽しそうだった。

はじめて見た気がした。
片倉先生のそんな姿、を。

「あんまり見つめると惚れちゃうぞ?」

「はい?」


俺は急に先生との距離感をおぼえた。


「土屋くん。何もそんなにドン引きする事ないじゃん!」

「片倉先生?」

どうしたんですか?
そのテンションは…?

俺がそう質問するよりも早く、先生は「ヘイ」と手をたたいた。






[*前] | [次#]
目次に戻る→


人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -