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「ご迷惑をおかけしました」
「いや、ま、元気になったならいいんだ」
片倉先生はカーテンを閉めながら微笑んだ。
俺は相談室の椅子に腰かけて、そんな先生を見上げた。
「カーテン閉めると薄暗いですね」
さっきまでピーピー泣いていた気まずさゆえに、俺はどうでもいいことを口にした。
かなり気恥かしいから、ちょっとでもそうやってごまかしたかったのだ。
なのに、片倉先生はそれが面白かったみたく「そうか」と笑った。
それが本当に楽しそうだった。
はじめて見た気がした。
片倉先生のそんな姿、を。
「あんまり見つめると惚れちゃうぞ?」
「はい?」
俺は急に先生との距離感をおぼえた。
「土屋くん。何もそんなにドン引きする事ないじゃん!」
「片倉先生?」
どうしたんですか?
そのテンションは…?
俺がそう質問するよりも早く、先生は「ヘイ」と手をたたいた。
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