38




=杉田side=


そう、たぶん、俺は土屋にとって友達じゃないと思うんだ。
出会った時からの違和感が今ならわかる気がする。

土屋は俺を見ているようで、
俺を見ていない。


俺を通して誰か、を、見ている。


きっとあの日「行かないで」と引き留めようと、必死に手をのばした誰かと。
君は間違えているんだと思う。

俺が、君を好きだって言っても、怖がって離れて行かないのが、ずっと不思議だった。
土屋らしくないと思った。
基本的に、土屋は自分に都合の悪いことからはそくさかと逃げる習性があったから。
なのに、俺から逃げて行かない。
本当は俺が冗談だよって言っても、土屋は俺が本気だってことはわかっていたはずなのに。

土屋は距離をおかなかった。普通は怖いと思うんだ。
同性から好きだとか言われたら。


お友達でいようだなんて、普通は考え付かないだろうに。


俺じゃなくても、君にはたくさんの友達がいるから、
君が俺にこだわる理由がわからなかった。

ここずっとわからなかった。

俺はずっとそんなそぶりも見せずに土屋と付き合ってきたけども、
もう、限界かもしれない。


俺は、俺を見てほしい。


俺は、俺として、土屋の友達…
じゃなくてもいい、


土屋の世界に加わりたい。


だから、ごめんね。土屋……






[*前] | [次#]
目次に戻る→


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -