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=片倉side=


面白くない。
土屋はどんなに揺さぶっても本性を見せない。

絶対に猫を被っていることは明白なのだが…



実は俺は人の心の奥底にある隠された感情を表に出させることがめっぽう好きな人種だった。
これまでもいろんな生徒や同僚の心の内を引き出しては遊んできた。

俺にできないことなんてなかった。
俺には人の本性を暴く才能があるのだと思っていた。

なのに、土屋だけはどうしても、違和感を残すんだ。
これが本当の土屋のように見えてもまだまだ仮面をこいつはかぶっているんだと、俺は思う。
一枚はがしても、まだかぶっている。

それが気に食わない。

はじめはそうやってやっきになっていたが、今はもう、気づいてしまった。
土屋の繊細さというかなんというか。
だから、
俺は、


俺は隠れている土屋に会いたい。


そして、言ってやりたいことがあるんだ。


いや、ずっとここにあったんだ。
言ってやりたいことが、あったんだ。






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