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本来ならここで、大丈夫?
とか、聞いたりするべきなんだろうな。
でもさ、俺はそのまま土屋の顎に手をかけて、顔を上に向かせて、キスをした。
何度も角度を変えて、ついばんでいく。
「…ん」
土屋は俺に抑え込まれているせいか、抵抗らしい抵抗をしなかった。
俺はそのまま唇を割ると、舌を中に入れようとして、はっとした。
何をしているんだ、と。
俺は慌てて唇を離して、言いわけを考えた。
都合のいい言葉は浮かんでこなかった。
でも、土屋は潤んだ瞳で俺を見つめている。
かなり、色っぽかった。
でもだが、それでも、それでも、だ。
ここで押し倒してなんになるんだというのであろう。
そんなことをしてしまったのでは今までみたいに一緒にはいられない。
いや、もう、さっきので手遅れになったんじゃないんだろうか?
グルグルと頭は回る。
どうしていいのかわからない。
俺が土屋のこと好きだというこの気持ちは、
迷惑だってことはわかっているんだ。
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