25
=杉田side=
1限目の授業の終わりを告げるチャイムが鳴った。
土屋は黙ったままうつむいていた。
俺は、ついに
昨日のいきさつを話すことにした。
このまま沈黙が続くのも耐えられなかった。
「あのさ…昨日は…」
俺たちが出会ってというか、仲よくなって一か月になるから、
土屋に甘いものでもって思って、遠くのスーパーを目指していたんだ。
けど、その途中に絡まれていた子がいて、助けようして
絡んでいた奴らと喧嘩になって、
なんか俺が完全に悪いみたいないわれかたをしたんだ。
で、警察のお世話にちょっとなって、
たいへんだったんだ。
土屋に連絡したかったんだけど、
気がついたら、もう、深夜だったから、今日、言おうかなって、思ってて。
でも、なかなか言い出せなくて今になるんだけど、そういうことで
昨日は俺、ここにはいなかったんだ。
そう説明した。
「別に待っていたわけじゃなかったりしたら余計な説明になるのかもしれないけどさ!」
そういうことだからと、俺は言った。でも恥ずかしくて、此処から逃げ出したくなった。
ちょっとトイレに、とでも言おうとしたら、立ち上がった俺の袖をつかんで、土屋は「ありがとう」と呟いた。
土屋はまだ顔をふせたままだったけども、
さっきのような痛い空気は俺たちの間にはなくなっていた。
「実はさ、待っていたんだ。杉田から話してほしいと思ったから。悪いな、なんか意地悪いとしてしまったかな?」
「土屋…」
「え、何?」
俺はしゃがみこむと土屋の顔をのぞく。
土屋の瞳からは、涙が溢れていた。
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