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=中佐都side=
探してしまう。
君はここにいないのに。
「……!」
しまった。また目があった。
感傷に浸っていたからだ。
俺はあわてて目をそらした。
あれは菅野。
小雪じゃない。
高校に入ってからは平常心を保っていたのに、またダメになりそうだ。
菅野、あんたのせいだ。
クラスの中で笑うあんたは、あまりにも、小雪みたいだった。
だから…
『一樹ぃ』
優しい声で俺の名前を呼ぶ小雪。
いつも俺のそばにいてくれたのに。
今、ここにはいない。
今、俺は独り。
今、どんな気持ちなんだろう。
「はい、みんな席についてー!」
二時限目の授業が始まった。
忘れよう。今は。
考えていてもしかたないじゃないか。
教科書とノートを用意して、俺は授業を受ける。
誰よりも真剣に。真剣に学ぶ。
わかりっこないことに答えが見つかるんじゃないかって、小さな希望を抱いて。
寂しくなんてないよ。
大丈夫だ。
小雪。
俺、生きていけるよ。
だから、心配しなくていい。
小雪は小雪の人生を歩んで。
俺は俺の人生を探すから。
どうか…
もう、君の優しさが、新しい傷を作りませんように。
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