20




時刻は、とうとう深夜0時を過ぎた。
俺はもう、杉田を待つことを諦めて、自宅に帰ることにした。
ずっと、ずっと、このままここにいて、これ以上の期待を持つのは嫌だったからだ。

でも、

俺はゆっくりと、振り返ったりもしながら、
もしかしたら、杉田は図書室のどこかで眠っているんじゃないかとか
思いながら、何度も何度も中を確認しながら、
図書室を後にした。



校内は、真っ暗で、静まり返っている。
誰も、俺に気づくこともなく帰って行ったんだ…そう思うと笑えてきた。
笑うしかない気がした。

どうしてかはわからないけど、こんなにも心が騒いだのはあの日以来だ。

馬鹿らしい。

思い出したところで何もかわらないのに、俺はあの日に捕らえられたままで。


「馬鹿なんだよ。だから」

足を止めて、涙を拭いた。
なんで泣くんだ。俺。
もう、泣いても何もかわらないのに。


パンッ!


自分の頬を叩いて、気合いを入れる。
考えなければいいんだ。

だって、解決しないだろ?

これはただの後悔で、後悔したところで何もかわらない。


そうだよ。

何もできないのが俺なんだよ。
ここで、かわろうとしたじゃないか。
泣いてばかり、いない、俺になろうって。

今度こそは…






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