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………………

………

しかたないことだったんだ。
そんなの言い訳だって思う。
でも、何もしてやれなかったのも事実なんだ。
守ってあげられなかったのも事実なんだ。
そこにどんな思いがあったとしても、そんなの無いに等しい。
行動に出ずして、何が伝わるといいのだろうか?


………

……………



俺は昔のことを思い出して、憂鬱になった。

今はもう会うことのない弟のことで。

あいつ、絡まれたりしていて、俺はよくそれを助けていたんだ。


「ありがとう」ってあいつが言えば、それで、よかった。
他には何もいらなかった。
だから、しょうもないことに巻き込まれても平気だった。

それに、俺は曲がったことが嫌いだった。弟以外の誰かが絡まれていても助けた。

意味なんて本当にない。


ただ許せなかったんだ。


我慢出来なかったんだ。


卑怯な奴らが心底、むかつくんだ。


例え、何人が相手でも俺は喧嘩を吹っ掛けてはつぶしてきた。
不敗だった。


血が飛び散る中で、
俺は、まるで、英雄でもなれたような気がして、いた。


そう、それが、

それが、後にいろんなことを巻き起こす行為だとしても、

それが、間違いじゃないと

それが、正しいと


思っていたのに。



ただ
壊しただけだったのかも
しれない。


俺は英雄なんて綺麗なものにはなれなかった。






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