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=杉田side=


別に俺はそこに居合わせただけだ。
そうそう、お昼御飯を買いに来たんだ。
あとせっかくなので、土屋に、何か甘いものでもと思って、いつもよりも遠出しただけだ。
なのに、なんでこんなことにまきこまれなくてはいかないのか。

「だから、聞いているのか?」

「はいはい、聞いていますよ」

はぁ。マジで最悪。
さっきね、絡まれていた子を助けてやったんだけど、なんかさ、俺が絡んでいたみたいに言うんだ。
この警察官。
だいたいさ、あんたがかけつけるのが遅いのが問題なんじゃないの?
それとも何か、俺にあそこのギャラリーのようにこの子を無視していたらよかったんのか?
くそぅ
そこの不良ども、口をそろえて人のこと悪く言いやがって。

「だから、こいつが俺たちの友達に」

「そうですよ。ちょっと目を離したすきに」

「ずっと前から、つけられたり脅されたりしてたんだよな。土屋?」


土屋?


俺はそこで、絡まれていた子の名前に驚いて、何も言い返せずにいた。
それは真実を認めたと思われるみたいで、警察官は俺の手首を握った。

いや、俺は何もしていない。

だけど俺はここで何を言っても、通用しないことを知っていた。
だから、無駄な抵抗は止めた。






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