それからというもの、俺は偽り始めた。

クラスの輪に入るのも、溶け込んでいくのも簡単だった。
これなら、昔みたいに反発も問題も起こさないで平穏に生きてこれたのかなって思った。

けどね、これ、ちっとも楽しくないよ。

俺の本音はここにない。
都合のいいことばかり口にして、へらへら笑って、時に空しくなる。

だけどさ、中佐都、たまに感じるあんたの視線が嬉しい。

わかっている。
わかっているよ。

あんたはこの輪に入りたいんだ。



「楽しそうだな」

笑みを隠しきれずにいた俺にクラスの誰かがそう言った。
だから「そりゃ、みんなといるの、楽しいから」と答えた。
うん。楽しいよ。
みんなといたら、中佐都が俺のことみてくれるから。

なんて優越感。
心地いいな。

やめられないよね、やっぱり。
今、この瞬間、中佐都は俺を瞳にうつしているんだ。

笑えるよ。


楽しいよ。

俺と視線があったらすぐにあわてて逸らすところとか、すごく心躍る。
興味ないふりして、求めているから、


もっと、いじめたくなる。


中佐都。
俺はあんたのその顔が一番好きだよ。

今、どんな気持ちなのかな。

中佐都、今、どんな気持ちで、いるのかな。






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