６
それから、しばらくして、
「土屋って、付き合ってる子とか、いた？」
とか、杉田は聞いてきた。
俺は思いっきり首をふった。
「いない」
「だったら、俺と付き合わない？」
「何が言いたいんだよ？」
俺はいまひとつ理解したがらない自分の頭を回転させて聞いた。
「だ・か・ら、恋人になろう」
「え、ちょ、待て、本気で？」
俺はずっとあの日の告白は冗談だと思っていた。
だって杉田、あの日から俺にそういった類のことは何も言わないし、態度にも出さなかったし…
だから、俺、軽い気持ちだとかその場のノリだとかそういったもんだと、ばかりに…
どうしよう。
て、ことは？
俺は長く杉田を傷つけてきたのかもしれない。
無知とは時に恐ろしいまでの凶器になるんだから。
気をつけないといけないって、決めていたのにっ
「杉田、俺は…」
どう言ったらいいのかわからない。
俺は、杉田が少しでも傷つかないような言葉を探しす。
だけど、それは同時に杉田のことを傷つけてしまうのだと、俺は心のどこかでわかっていた。
結局は同じなんだ。
どんな綺麗な言葉で飾りたてても、答えはかわらないんだ。
「俺は…」
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