大好き。




俺は君が大好きです。
どうして好きなのか、と聞かれたら困ります。
何処が好きなのか、と聞かれても困ります。
理由はわからないです。
好きになったのは何時だったのかもわかりません。
気が付いたら君が大好きでした。
誰よりも頑張り屋さんで、優しい君です。
だから、たまに不安になるんです。
君は一人で傷ついていませんか?



******


恋人になって三カ月が過ぎた日、
俺は君に言いました。
俺には何でも話してほしいって。
頼りなくても支えになれたらなりたいんだって。
必死に伝えたら、君は泣き出しそうな顔をしました。

それでも俺は流されてあげませんでした。
いつもそうやって君は俺との間に線を引こうとしています。

「どうして…?」

わからなくて聞きました。
ずっと待っても君は辛そうに顔を伏せて俺に何も言ってくれなかったからです。
「どうしてって、俺…その」
君は震える声で俺を見つめました。
「お前が知っている俺は…そのただの俺の理想で、俺じゃないんだ」
「どういうこと?」
「俺、本当は前向きな性格じゃないし、優しくなんてない。そんなこと誰にも知られたくなかったけど…いつまでも大好きなお前に嘘を重ねるのは辛い」
「嘘なんて俺吐かれていないよ?」
「え?」
「俺は今まで理想の自分を演じてた君を知ってます。でも、それも君の一部。俺は、ただ他の君のことも知りたいんだ。俺だって大好きだから、もっと君のこと知りたい。それに落ち込んでいるのは見ててわかるんだよ。俺に出来ることがあるなら、俺、協力してあげたい」
「……なんで俺なんかにっ」
「こら、自分のこと悪く言わないの。俺、すごく好きなんだから、凹む」
「え、なんで?」
「たとえ、誰であっても君のこと悪く言ったら駄目なの!」
「ちょ…そんな…」
「照れてる?」
「うん…」
「大好き!」
「あり、が、とう」
「だから、みんな話して。俺は君と一緒に歩いていきたいんだ。一緒に」

ね、と手を出して微笑みます。
すると君は泣きながら俺の手をとりました。

泣いている君を見て、俺が嬉しいと思うなんて変な話です。
でも、泣いている君がとても幸せそうだったので、
俺も幸せでいいのだと思いました。


これからは、君のことみんな見せてね。





fin





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