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「す、すき…?」
「ああ、俊之に会わない夜は、キスしたいとか、いろんなことしたいとか考える。でも、いつも、次の日、俊之の顔を見たら、もう一緒に居られるだけで幸せすぎて、歪んだ感情は何処かへ行っちゃうんだ」
健気だろ、とユウは笑った。
俺もくすぐったくて笑った。
「それに…そういう、恋人みたいな進展…俊之は望んでないと思っていた」
「え、あれ?」
……もしかして、俺の言葉は、
さっきまでの問いかけは、下手をしなくても
キスしてほしいとか、ねだっているような感じに聞こえたのか?
「俊之が望むのなら、俺は何だってしてあげるよ?」
ユウは幸せそうに瞳を細めて俺を見つめた。
俺はすごく恥ずかしくて、でも嬉しくて、ただ首を横に振った。
「俺は…ユウが、俺のこと好きでいてくれるなら、恋人でいてくれるなら、他には何も…」
何もいらない。
でも、キスしてみたいと思ったとか言ったら、ユウはどういう顔をするだろう。
おずおずとユウを見つめると、ユウは顔を真っ赤にして俺を抱きしめた。
「……そんな顔しないで、俊之」
「そんな顔って?」
「いや、なんか、目がとろんとしていて、エロい」
「え、ごめんっ」
変な顔していたのかなって俺は自分の頬に触れた。
するとユウはさらに俺を強く抱きしめて、優しく囁く。
「キス…してもいいかな?」
「うん」
fin
★
熊猫さま、2周年リクエストありがとうございました。いちおもうひとつ季節的に『トリックオアトリート』のお話もよかったら…!
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