「は、ちょ、いつ、俺が
そんなこと言ったんだよ?」

「照れない照れない」

「ちが、違うだろ? ゲン」

「あはは、幸せなんだろ?
もしも、俺に置いて行かれたら、
なんて考えて、
悩みまくってしまうぐらい、
俺のこと好きで、
ずっとそばにいたいんだろ?
疑う自分に、嫌気さしても、
俺のことは嫌いにならずにいてくれている。
馬鹿みたいに、愛されているじゃん、俺」

「うっさい、ポジティブ男!」

「かわいい、かわいい」

「気安くなでるんじゃねぇよ!」

「嘘、本当はもっと、してほしいくせに」

「ゲン?」

「言えよ? 不安になったら。
いつでも、いつまでも、
愛を囁きつづけてやるから。な?」

「…ゲン」

「泣くなよ。
サトには笑っていてほしいんだから」

「うん、ごめん」

「違う、ありがとうって言ってくれよ」

ポンと頭をなでられて、
俺は迂闊にももっと泣いてしまいそうになった。

「ありがと」

それで、精一杯だった。





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