しばらくして、どうして河野さんは俺にあんなことをしたのだろうと考えた。嫌われているのだとしょげた。だって、普通あんなこと男が男にするわけがない。ということは…きっと河野さん、俺のこと嫌いなんだろう。だから…あんな…

五時間目の授業中、俺は机に伏せて泣いた。

そして気がつけば休み時間になっていた。そして俺は廊下でなんたらさんの親衛隊さんに囲まれていた。どうやら俺が財布を窃盗したらしい。いや、してないけどさ。
「なんとか言えよ、坂井、お前が盗ったんじゃないのか?」
傷心して何も答える気分になれない俺は頷こうとした。だって、否定しても、意味がないって、余計に話は広がるだけだって、前の学校で経験済みだ。

けど、俺がそうやって腹をくくったら、なんたらさんの親衛隊さん達は一瞬のうちに廊下にたたきつけられていた。ちょ、俺は何もしてませんよ、と両手をあげて周りにアピールしてみる。別にもう俺についたイメージなんて変わらないだろうけど、もう、これ以上、変な噂がたつのは嫌だった。

「心配させるな」
「……え?」
とても澄んだ声がした方を見ると、河野さんが険しい顔をして立っていた。
「どうして…」
河野さんは俺のこと嫌っていたんじゃないの。なんで、また俺のこと助けてくれたのだろう。助けてくれたと思ってもいいのだろうか。
俺の中でたくさんの感情が渦巻いて、俺は何も言えなかった。そうしているうちに、河野さんは俺に背中を向けてその場を去っていった。

心配させるなってことは心配してくれたってことでいいのかな?





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