また俺の新しい噂が加わった。今日の朝聞いたものによると、俺は学園一の問題児を手下につけたらしい。怖っ。いったい誰がどうしてそんな風に噂を…。いや、待てよ、もしかしたらその問題児というのは昨日俺のことを助けてくれた彼のことだろうか。だとしたら、くわしく知りたいと思う。特に彼のことを。

だが、俺はクラスではすでに孤立していた。うん、俺がもしも君らの立場だったら変な噂の絶えない季節外れの転校生と友達になりたいなんて思わないから、わかるよ、その気持ちは。

しかし、誰か俺に、彼のことを教えてはくれないものだろうか。
気になってしかたない。
もう二度と会うこともないのかもしれない。
そんなのちょっと…かなり寂しい。

「どうしたんだろう、俺…」
弱ってるのかな。あまりにも、ここに来てから孤独だし、変な噂たてられているし、誰からも大切にしてもらってないから…。だから、本来なら俺は怖いと思って避けそうな問題児である彼を、探しているのかもしれない。

お昼休みになると俺は弁当を持って中庭の隅っこに向うことにした。大勢の中で一人でいるくらいなら、一人しかいない場所で一人になりたかった。
一人に…なりたかったんだ…だけども!

「あ、あの」

誰もいないと俺が思っていた中庭の草に覆われた場所に、短髪の大柄な人がいた。昨日、俺を助けてくれたあの人。俺はどうにか少しでも距離を縮められないかと声をかける。すると、彼はとてもだるそうに俺のことを見つめた。





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