「あれ…?」
さっきぶつかった女王様のような人のせいで、俺は移動教室に向かっていたクラスの団体を見失ってしまった。どうしよう、俺、何処になんの教室があるかなんてこと、転校初日だしわからないぞ…。
どうしよう…ってか、ここはすでにどこなんだろう。自分の教室への帰り道さえもわからない。

俺、迷子?
そんなことないって、きっと、ある程度歩いたら、何処かにでるだろうし、誰かに会うだろうし、そこで次の手を考えたらいい。いくら、この学園が広くても、どうにかなるって!

そんな考えが甘かったことに、俺が気づいたのは、二時間目がはじまるチャイムの音を聞いて三分たった時だった。
「君、そこで何をしているんだ?」
とっくに授業は始まっているだろってその人は言った。でも、俺はとても正直者で馬鹿だった。
「貴方こそ、授業はじまってますよ?」
ピッキーンと何かがはじけるような音がした。
「坂井くん、僕に口応えなんて生意気だよ?」
「え?」
「今度機会があったら何処かで知るだろう。僕は生徒会長だ」
だから、何なのさ、と言いかけた口を俺は必死で閉じた。
この人に逆らわない方がいいと、俺は無意識に思ったのだろう。
「ではまた会おう」とか言い残して、俺と何も変わらず授業中なのに廊下を歩いている生徒会長は優雅に右手を振って消えた。
できれば会いたくない…。





[*前] | [次#]
目次に戻る→

第3回BLove小説・漫画コンテスト結果発表!
テーマ「人外ファンタジー」
- ナノ -