涙、止まらなくなった。
泣いたら、困らせるって迷惑だって、俺はわかっているのに、止まらなかった。
「それって、氷上さんが、俺のこと、好きみたいに聞こえます」
「そうだよ、好きだよ、好きになったんだよ…告白されて、意識して、わかんないよ、西沢は俺の可愛い後輩なのに、どうしてこんなにも簡単に、変わってしまうの…」
「…………」
「西沢は何も変わらないのに、俺は俺だけ、ドキドキして、ホワイトデーに返事とかどうしようかなって考えて…西沢は迷惑だって言ったのに、まだ、好きで、わけがわからない。もう、一か月も前のことなのに、もう、終わったことなのに…っ」
「いつ、終わったんですか?」
「え?」
「氷上さん、今、抱きしめてもいいですか?」
「え、ええ、えと、え、はぁ、はい」
俺はおずおずと頷いた。
どうして、今、西沢はそんなことを言って、俺を抱きしめてくれるんだろう。
「…俺、変わらないの、は、認めます」
「ほら、やっぱり、いつもの軽いノリだったんだ…。あの日は真剣だと思ったのに」
いつも、よく、軽いノリで好きだって言われていた。だけど、あんなにも真剣に好きだって言われたのも返事を要求されたのもはじめてだったんだ。だから、嬉しかったんだ。
恋人になれないなんて、失いたくないなんて、それ、そんなの、本当は俺が西沢は好きになれないんじゃなくて、西沢がそう言った意味で俺のこと好きになってくれないと思っていたからじゃないだろうか。
本当はずっと俺は西沢が好きだったんじゃないだろうか。






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