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変なこと言ってしまったかな…と俺は落ち込みの中で目を覚ました。

学校に行くのが怖かった。紅屋さんからの返事はまだない。確証はないけど、いつも紅屋さんは夜にメールが途切れても、この時間にはその返事をしてくれているのに。今日はきていない。

たまたまなのかもしれないけど、不安ばかり胸に積もって、ぐるぐるする。こんな気持ち初めてかもしれない。今までだって不安に思うことがあっても何とかなると思っていたし、どうにかなっても受け入れようと思っていたから。だから、もしも紅屋さんが俺の好きは恋愛感情かもしれないって言葉に嫌気がさして俺から離れていくとしたら、俺は嫌だ。耐えられない。それをしかたないと言えない。思えない。でも今から、昨日のメールは嘘だと伝えて誤魔化そうとも思えない。

紅屋さん相手に偽りたくない。

…………とりあえず、悩んでいてもしかたないから、学校に行こう。



*****


お昼休みになっても紅屋さんからの返信はなかった。絶望的な気持ちになる。中村が弁当を一緒に食べようと言ってくれても…俺は乗る気になれず、断った。

そして、教室にいるのも居心地が悪くて、俺は一人になれる場所に向かった。俺ってさ、みんなから怖がられているから、楽しそうな雑談をしている人の近くにいたら、空気悪くしちゃう。


「え?」

校庭の方を歩いているとドーナツ屋さんの車が止まっていた。女の子たちがわいわいと買いに走っていた。俺はしばらく足をとめたものの、俺なんかがここにいたら、きっと気弱なドーナツ好きの女の子は怯えて、大好きなドーナツを買えないんじゃないだろうかと思って…


「狩野くん」

……ああ、幻聴が聞こえた。
紅屋さんが俺のことそんな風に呼ぶはずもないのに…



「狩野くんって!」

「え?」

二度目の声に振り返ると、そこには紅屋さんがいた。






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