とりあえず、駅前の喫茶店に入って珈琲を頼んだ。紅屋さんは紅茶を飲んでいる。

「でも、笑うなんてやっぱりひどいな…」

綺麗な顔を幼くして、紅屋さんはぼやいた。黙っていたら、本当に美形美人なのに、こうしてくだけたところを見せられたら、子どもっぽい人だなって思う。
て、年上相手に失礼か。

「だってさ」

俺は紅屋さんに俺が待ち合わせの場所で笑ってしまった理由を話した。本当に、早く着いてしまったら『待った?』の言葉に『今来たところ』と言おうと思っていたのに、それが逆転するなんておかしい。後、紅屋さんが凛と立っていたのに、俺が声をかけたらあたふたと手を振ったのも、本当におかしかったんだ。

「…ふぅ。わかった。俺も子どもじゃないから、多めにみてあげる」

「子どもじゃないって、俺も紅屋さんもまだ高校生」

「あ、そうか、そうだったね」

時たま、自分の歳を忘れてしまうよと、紅屋さんは笑った。
本当に絵になるという言葉が当てはまるくらい、
いや、それ以上に、
紅屋さんは美しい人だった。


「紅屋さん、ドキドキするのってやっぱり恋?」

「え?」






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