五時間目の授業に、中村をかえしてから俺は携帯を出して、メールを紅屋さんに打つ。


『もしかしたら、俺たちが今朝会ったかもしれないなって話なんだけど、さっき俺の後輩から聞いたんだけど、紅屋さんって○×高校の3年C組かな?』

自分でも文章になっていないようなたどたどしい本文になってしまったけども、長年の付き合いだから、俺の言いたいことをきっと紅屋さんはわかってくれるだろうと、送信した。返事はしばらくこなかったけど、それは授業中だったからかもしれない。
で、帰宅して、ベットの上に転がりこんだ時に紅屋さんから返信が来た。


『狩野くん、すごいな。俺がそうだって認めるのに少し時間かかっちゃった。後輩に聞いたってことは同じ高校なのかな。朝俺のこと助けてくれたのは狩野くんだったってことかな? 俺って、イメージ全然違わなかった? それがちょっと怖くて…ごめん』

『そんな、ことない。紅屋さん、緊張しただけだと俺はわかっているつもりだよ。たとえ、その時は慌てて誤解されそうなことしても、後で後悔してくれていた。イメージとかって俺の勝手な妄想だよ。紅屋さんは紅屋さんだし、っていうか、めちゃくちゃ綺麗な人でびっくりした。ペンネが本名だってことも驚いたよ。俺は、2年A組の狩野っていう…うーとちょっと問題児かな…? ずっと黙っていてごめんね。俺、紅屋さんがもしかしたら、俺のこと、そんな奴だって知ったら怖がるんじゃないかなって思ったけど、勇気を出して伝えてみます』

『ありがとう。俺はいつも狩野くんの優しさに救われてる。そんな怖がるだなんてないよ。俺もたくさんこうして狩野くんとメールして、狩野くんのこと知っているつもりだよ。朝のはただ、ちょっと焦ってしまって…だから怖いとか思ってないし、その、この人かっこいいなってそんなこと…思ったりしてたりして…』

俺はこの時、携帯を握ったまま、声にならない声をだして、震えた。
なんで、この人はこうも可愛いんだろう。


『よかったら、よかったらでいいんで、今度、一緒に話しませんか?』

俺は震える手でメールを送った。返事はすぐに『はい』と一言だった。






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