…寝坊した。

只今、午前9時。すでに授業は始まっている。
真面目な俺は自宅をすぐに出ると、駆け足で高校に向かう。


「う?」

俺の前に同じ高校の制服の奴がいた。まだ、登校時間か…とかちょっと期待したものの、街灯の時計を視界にいれたら、明らかに遅刻なのはわかる。ということは、あいつも遅刻なのか。俺は変な同類感を胸にほほえましい気持ちになった。

「…ちょっ!」

俺の前をさっきから走っている彼の前に車が現れようとしている。俺はこのままでは危ないと思って、速度を上げて、彼の手を引っ張った。

すると、彼の目の前をギリギリにトラックが通りすぎた。

「……っあ、大丈夫ですから」

そういって彼は俺の手を払うと、俺を睨んだ。とても、綺麗な人。制服がズボンだから男ってわかっているんだけど、ドキドキしてしまう。普段ならせっかく助けたのにお礼もなしかって思うだろうけど、そそくさと走り去っていく彼の背中を見ながら俺は立ちつくした。もしかしたら、人はこれを恋っていうのかもしらない。

そう思ったんだ。



「って、早く学校にいかないと!」

俺は正気を取り戻して再び、駆けだした。






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