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三月に入って俺はホワイトデーのお返しをショップとかに見に行った。
そこで西沢の趣味がわからないことに気がついて、悲しくなった。
俺、よく考えたら、西沢のことちゃんんと知らないんじゃないだろうか。
……俺が知っている西沢って、ただ金髪のトラブルメーカーってことこくらいかな。
と、いうか、西沢ってチョコとか食べるのかな…甘いものいけるのかな。
わからない。
わからないことが、とてもやりきれない、。
「どうして、俺が悩むんだよ…」
やり場のない感情に、俺は背中を向けた。
別にお返しなんて買わなくてもいいんじゃないだろうか。
だって、何にしたらいいのかわからないもの。
だって、あれから一カ月だもの。
ずっとね何も変わらないように西沢は俺に接してくれているけど、それってどうなのかなって考えた。
本当にバレンタインの日に告白されたのかも疑わしいほどに…
西沢は俺に変わらない日常をくれた。
「…これ」
ふと目についた、小ぶりなワッフルが可愛いと思って足をとめた。
これなら、西沢はよろこんでくれるんじゃないだろうか?
ラッピングも可愛いし、俺はこれが好きだな…
て、これは俺の趣味だ。
……でも、俺はここにきて、バレンタインのこと持ち出してもいいのかな。
西沢は何も変わらないのに、俺が変わってしまってもいいのかな。
困らせてしまうんじゃないかな。
西沢は俺のこと、きっと、もう、好きじゃないだろうな…
本当にいつも通り、今まで通り。
一か月…
人の気持ちが変わるには十分すぎる時間だ。
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