12
「……三条、それってどういうこと?」
一通り説明してもらったけど、俺は理解できないことが多々あった。
浮気には変わらないのに、俺はそれを責めたいという気持ちにならない。
「だから、俺、すっごく浜松のこと好きだよ。けど、初めてだったから、人のこと好きになったの。だから、知りたかった。安心したかった。浜松しか知らなくて、浜松が好きなんじゃないって。他の誰かも知っていて、浜松がそれでも好きなんだって。そう思いたかった」
「……それって、でも、俺は寂しい」
「ごめん、浜松は、なんとも思わないって思っていた」
「どうして?」
「だって、お前はいつも、どうでもいいとか、関心がないようなことを言うから」
「…そっか」
じゃあ、勘違いさせていたんだな、これからは俺以外の誰かを抱きしめないでと俺は言った。嫉妬するし、悲しくなるんだからなって伝えた。
「三条…?」
「ちが、泣いてない。俺は泣いてないぞ!」
「でも」
「嫌だな…なんで、俺、最低なのに、浜松に好きだって言ってもらえて、嬉しいのに何で、涙、とまらないんだろう…」
おかしいな、と三条は言った。俺はおかしいことなんてないんだと笑った。
「浮気してもいい?」
「駄目だ」
たとえ自分の手が二つあっても、守れるのは最後は一つなんだって、ずっとそこにいた武雄は言った。
俺も三条もその通りだなって笑った。
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