11
「幻滅した」
「武雄に言われても痛くもなんともない」
「じゃあ、特別な人に言ってもらうか?」
「はぁ?」
うわ!?
なんか、俺の入っている倉庫の扉を開けようとしている。
どうしよう、今、俺、三条に会わせる顔がない。
逃げ出したい逃げ出したい。
「いつまでも逃げられると思うな」
「え?」
扉は開き、その隙間から、武雄の顔がこっちを見ていた。
「ほら、悪かった。出てこい」
微笑みながら差し出された手に俺はすがりついた。
今まで心細かったんだ。
「武雄ぉ…」
「は、浜松!?」
「……三条、俺、説明してほしい」
俺の方を見て、驚いている三条に俺はつぶやいた。
そうだ、いつまでも逃げていても解決しない。
「屋上にいたの、見たよ、誰なんだ?」
「…あ、あれは」
「俺って、三条の何?」
「恋人だよ」
「じゃあ、なんで、屋上で抱きあっていたの、誰だよ…」
俺じゃない誰かと抱きあっていたの、おかしいだろ。
「三条ぉ…っ」
答えてくれと俺は言った。もう泣いてしまって、きっとキモイことになっているけど、俺は真実が知りたくて仕方なかったんだ。
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