=浜松side=


授業中も鞄の中にある、果たし状が気になって仕方ない。俺は無視をするつもりだけど、果たし状の主はもしかしたら、俺がくるのをずっと体育館裏で待っていたりするのだろうか。わからない。

「はい、ここ、浜松!」

「え、はい、えええ〜と」

わからない。俺、授業聞いてなかった。しかも、数学なんて俺苦手だし。

「浜松、ぼ〜とするんはいいけどな、授業は聞いとけよ?」

「すみません…」

「わ、わかればいいんだ、気にするな、な?」

「はい」

なんて優しい先生なんだろう…。数学の先生だけは俺が三条と付き合ってからも今まで通り接してくれる。嬉しい。変わらないものがあるということはとても安心する。入学当初、一人ぼっちだった俺にみんな優しかった。それが、どれだけ嬉しかったことか…。あ、いや、ゲイとか偏見あったから、困惑したりもしたけど、中学時代、俺は嫌われていたから、受け入れてもらえて嬉しかったんだ。だから、俺は、三条の協力もあってだけど、この学校のことも受け入れることができるようになった。なのに、みんな、俺に冷たくなった。

三条と俺が付き合うこと、心よく思わないみたい。

そりゃ…俺だって、三条に、俺はもったいないって思うけど…


「はい、今日はここまで!」

チャイムが鳴った。

「「ありがとうごさいました!」」

俺たちは立ち上がると声をそろえてお辞儀をした。






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