そんなこんなで、バレンタインの次の日に『実はドッキリでした! だまされちゃって可愛いなーもうっ』などと言う展開を望んでいた俺だったけども、そういったこともなく、いや、本当に何もなく、むしろこんなにも何も変わらないことが変に思うほどに何もなく西沢は俺に接してくる。つまり、今まで通りだった。朝会っても普通に「おはようございます」と西沢は言う。部活も今まで通りだし、帰宅も今まで通り、何気ない会話をして、一緒に帰る。正直俺は、もしかしたら、あれは夢だったのかなって思った。
あまりにも西沢はいつも通りだ。
だけど、夢じゃない。確かに西沢は俺に好きだと言ってチョコレートを渡した。
家に帰ると、俺の机の上に、西沢からもらったチョコレートが置いてある。から
「どういうことかな?」
わからない。本当に何が何だか。
でもね、西沢が普通にしてくれていることに俺は内心ホッとしていた。
俺も西沢のこと好きだけど、それは後輩としてだったから。
恋人にはなれなくても俺は西沢を失いたくないと思っていたから。
告白された夜、このままでいいと思ってしまった。
このままが一番だって。思って。
でも、意識、していた、俺が、そこにいた。
いつもと変わらないスキンシップに、ドキドキしてたまらない。
馬鹿、俺。
これじゃ、まるで俺が西沢に、本気で惚れてしまったようなものじゃないか!

でもさ、考えてみろ。
告白されたから、意識しているだけだろう。
きっとそう。西沢が俺を好きだって言ったから、俺は意識しているんだろう。
そうに決まっている。決まっているんだって、俺はそう思って、西沢との距離の測り方を考えた。
考えて、考えても、俺は、
距離なんて、作りたくないって、気がついてしまった。
馬鹿みたい。






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