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教室につくと、そこには三条がいた。俺は嬉しくなって、三条を驚かせてやろうと、思った。
「三条っ」
後ろからバッと抱きつく。
「わ、浜松、驚いたなー」
「おはよう」
「おはよう…って、あれ、顔色悪いけど?」
大丈夫? とか言いながら、三条は俺の頬に触れた。そしていたわるようになでる。涙腺、じわんときた。
「何か、あった?」
「…っ」
何もないと俺は首を横に振った。
三条には言いたくない。三条には下駄箱に果たし状が入っていたとか、それを俺は無視するつもりだとか、そんなこと、知られたくない。三条には綺麗な純粋な俺しか、見ていてほしくない。
「そう?」
本当に何もなかった? と三条は心配そうに俺の唇に唇を重ねる。
うん、何もない。
俺、三条とこうしていられるなら、何も辛いことなんてない。
「いやだな、俺、三条がいて、俺のこと好きだって言ってくれるから平気だ」
そう、平気だ。
平気なんだ。
三条の告白に頷いた時、俺は全て覚悟していたじゃないか。
なのに、どうして、こんなにも今、罪悪感が俺の中に募るのだろう。
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